店主独特の言いまわし「竹庵語録」というのが、ある。
1.店に入ると、まず「いらっさいませ」と声をかける。
2.「ショウガ少なめ」とお願いすると「すけなめね」という応え。
3.店主は自らを「おっさん」と言う。
徳島駅近く、うどん・そば処「竹庵」は、味の良さはもちろん、店主の米沢良之さんの温かな人柄でも大人気の店。 「おっちゃんとしゃべりに来た」と何時間も座っていくお客さんも少なくない。
店のもう1つの特徴は、メニュー。
種類の多さはもちろん、オリジナルメニューのユニークなこと。名前を見ただけでは、どんなものが出てくるか想像のつかないものもある。
「メニューを考えることは趣味」だと、米沢さんは言う。新しいものを考えつくとすぐに店に出し、人気のないものはすぐにやめる。常連客でも、いつも何か新しい発見がある。
決して飽きることがないのだ。
と、人気の理由はいくつも挙げられるのだが、ご本人の分析はどうだろうか。ここで、敢えて少し意地悪な質問。
「人気の秘訣はなんでしょう?」
すると、「人気」という言葉に少し照れながら、「なんとかやってこれたのは『休まない』からやね」と、意外なほどシンプルな答えが返ってきた。
米沢さんが竹庵を開店したのは平成6年(1994)。
それまではJR職員だった。JR(当時国鉄)に入社してしばらくすると、米沢さんは周りの人たちの優秀さに、今まで持ってきた自信をなくしそうになる。
その時「自分の持っている他の人に負けないものとは何だろう」と考えた。そして気付いたのが「休まないこと」。
それを、店を開いた今も胸に刻み、冠婚葬祭など、どうしても無理な日以外は、元旦でも台風の日でも、営業することにしている。
最近、米沢さんは、うどんやそばの作り方を教える講習会も行っている。実際に店で出しているもののレシピを、いわゆる「企業秘密」は一切なしで、そのまま公表する。
最初は参加者を集めるのに苦労する程だった。
しかし今では、県内各地から声がかかる。講習会に参加する人も、子どもからお年寄りまでと、幅広い。
夢は県下一円に竹庵のそばの打ち方を広めること。「徳島県の職員の方に覚えてもらって、その人たちが県外からの観光客に祖谷のそば粉を使ったそばづくりを教えるようになったら最高やね」。
竹庵を訪れるお客さんも、講習会に来る人たちも、そして店のスタッフも、米沢さんの周りには笑顔がたえない。
これからも米沢さんのふりまく「笑顔菌」は、店を訪れた人たちに入り込み、竹庵ファンを増殖させていくだろう。
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