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087 求める人の用途に合わせた皮張り家具との出合いを作る。
北谷 政明さん 株式会社北谷 代表取締役社長 北谷 政明さん
1937年徳島市生まれ。徳島市立城東中学校卒業、父親と共に鏡台製作に従事。父親の死後は兄弟による会社運営。92年、代表取締役社長に就任。
●株式会社北谷
1925年創立。
1964年株式会社設立。67年、仔山羊の皮を使った皮張り家具の製造開始。以後、皮張り家具、鏡台、特注家具の製造、卸。資本金/4,950万円。
〒779-3117 徳島市国府町日開539-1
TEL 088-642-1360 FAX 088-642-6619
http://www.kit-furniture.co.jp/
 「家具の宝石」とまで言われる皮張り家具の製造販売をしている会社が徳島市内にある。(株)北谷だ。
 国府町の本社ビルの隣に平成6年(1994)に完成したショールームの内部は、まるでヨーロッパの宮殿のようだ。家具だけでなく、階段の手すりや部屋のドア、果ては壁に至るまで光沢のある輝きに満ちている。    
 「皮張り家具の製造を行っているのは日本ではうちだけ、世界でもイタリアに2社あるだけ」という社長の北谷政明さん。
 同社はかつて鏡台を作っていた。鏡台は戦後、昭和24年(1949)頃から爆発的に売れた。
 「父親から鏡台作りの技術を学び、夜も寝ずにつくってコンクールに出品。ところが入賞すると出荷する頃には類似品が出回る」時代。頭を悩ませる日々だった。
 ところが今から40年近く前、大阪のデパートからイタリア製の鏡台やワゴンの修理を頼まれた。国産品にはない光沢に引かれたが、修理には「いろいろと苦労した」と言う。イタリア製の木製灰皿を取り寄せ、構造を調べた。木地の表面は皮で覆われていた。これが皮張り家具との初めての出合いだった。
 「この経験を生かし、皮の魅力を引き出した家具作りを」と、ここから試行錯誤の開発が始まった。皮張り家具は仔山羊の皮を桜材などに張り、その表面に樹脂加工を施す。独特の立体的な色感は、皮が塗料を吸うことから生まれるのだが、これが難題だった。
 「途中で止めたいと思うこともあったが、ここまでくると後には下がれない」。結局、販売に至るまでに約4年の年月が必要だった。
 当時の日本は高度成長期。皮張りの鏡台は普及品に比べはるかに高い値段だったが、飛ぶように売れた。
 まねの出来ない製品作りを目指していた北谷さんは、鏡台以外の家具にも着手した。北谷さんの家具は注文を受け、製造し出荷するまで2,3ヶ月を要する。一人前の技術者になるにも一般の技術者の約2倍はかかる。
 しかし、と北谷さん。景気が低迷する今「ものを作る側にもあせりがある。安価な輸入家具との価格競争をするより、確かな技術でこだわりのもの作りをしなければ」と、徳島発の真のブランドづくりを強調した。
 確かに今では北谷さんの家具は皇室でも使われるブランド家具に成長。
 その一方、こだわりの若者層にテーブルや椅子のセットが売れる。「その人の用途を把握して作るオーダー家具。わが社のブランドはこうした人と皮張り家具の出合いを作ること」とも。
 北谷さんは「いずれにしても、ものを作ることは面白い」と目を細くした。
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