血圧測定
1.血圧とは
血圧とは、心臓(心室)の収縮と血管の緊張(弾性)により血管内に作られる圧力です。 血圧というと、普通は動脈の血圧をさします。血圧には収縮期血圧と拡張期血圧とがあり、次のようにいろんな呼び方があります。 収縮期血圧とは、左心室の収縮期に一致してみられる血圧です。他方、拡張期血圧とは、左室の拡張期に一致してみられる血圧です。 収縮期血圧と左室の週収縮期圧とは同じですが、左室拡張期圧は0であるのに、拡張期血圧(最小血圧)は通常一定の値を示します。 之は、全身の動脈(ことに細動脈)がある程度の収縮性を保ち、心室拡張期においても脳、心臓、腎臓などの重要な臓器への血液の流れを保っているからです。
一般に血圧というと、収縮期血圧を重視する傾向がありますが、実は拡張期血圧も非常に大切で、 「高血圧症」の大部分を占める「本態性高血圧症」という病気は、全身の細動脈系の収縮亢進に基づく拡張期血圧の上昇が基本にあります。
収縮期血圧 | 拡張期血圧 |
---|---|
最大血圧 | 最小血圧 |
最高血圧 | 最低血圧 |
2.血圧の正常値と異常値
血圧が上昇した状態を高血圧と呼びます。従って、血圧の正常値がいくらであるか、また いくら以上を高血圧とするかは大切なことです。 昨年(1998)、世界保健機構(WHO)および世界高血圧学会(ISH)は、次のような正常血圧及び高血圧の診断基準を発表しました。 この基準は、最も信頼性が高い高血圧の判定基準として、世界中で最も広く用いられています。
3.生活習慣病の危険因子としての高血圧
高血圧があると、心臓(心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈など)、脳(脳内出血、脳梗塞など)、腎臓(腎硬化症、腎不全、尿毒症など)、
動脈硬化(下肢動脈閉塞、大動脈瘤)などのいろんな病気を起こしますので、これらの病気の危険因子として、その早期発見と適当な血圧値へのコントロールの必要性が強調されています。
1例として、下に脳出血、脳梗塞、心筋梗塞例における高血圧合併率を示します。
分類 | 期血圧(mmHg) | 拡張期血圧(mmHg) |
---|---|---|
至適血圧 | <120 | <80 |
正常血圧 | <130 | <85 |
正常高値血圧 | 130~139 | 85~89 |
第1度高血圧(軽症) | 140~159 | 90~99 |
境界域高血圧 | 140~149 | 90~94 |
第2度高血圧(中等症) | 160~179 | 100~109 |
第3度高血圧(重症) | ≧180 | ≧110 |
収縮期高血圧 | ≧140 | <90 |
境界域収縮期高血圧 | 140~149 | <90 |
3.生活習慣病の危険因子としての高血圧
高血圧があると、心臓(心筋梗塞、狭心症、心不全、不整脈など)、脳(脳内出血、脳梗塞など)、腎臓(腎硬化症、腎不全、尿毒症など)、
動脈硬化(下肢動脈閉塞、大動脈瘤)などのいろんな病気を起こしますので、これらの病気の危険因子として、その早期発見と適当な血圧値へのコントロールの必要調されています。
1例として、下に脳出血、脳梗塞、心筋梗塞例における高血圧合併率を示します。
疾患 | 調査例数 | 高血圧合併率(%) |
---|---|---|
脳出血 | 43 | 79.1 |
脳梗塞 | 59 | 62.7 |
心筋梗塞 | 14 | 57.1 |
4.降圧薬療法の脳卒中発症率および死亡率への効果
近年、優れた血圧降下薬(降圧薬)が、多数発売され、血圧のコントロールは以前に比べて非常にし易くなりました。 降圧薬を服用して、血圧値のコントロールを行いますと、これらの合併症を著しく減少する事が出来、ひいては死亡率の減少、寿命の延長をもたらします。 以下、その実例を示します。
1) 高圧療法による脳卒中発症率および脳卒中死亡率の改善
(米国在郷軍人会)
脳卒中発症率(%) | 脳卒中死亡率(%) | |
---|---|---|
非治療群 | 9.5 | 2.6 |
降圧薬療法群 | 2.3 | 0.4 |
2) 高圧療法の脳卒中再発予防効果
脳卒中再発率(%) | |
---|---|
非治療群 | 15.4 |
降圧薬治療群 | 5.1 |
3) 血圧値の上昇に伴う心筋梗塞発症率の増加
青は男性、赤は女性。何れでも血圧の上昇と共に心筋梗塞発症率は著しく増加している。
5.高血圧の治療目標(米国合同委員会第6次報告,1997)
-
血圧管理
- 収縮期血圧<140mmHg
- 拡張期血圧<90mmHg
- 心血管系の危険因子除去: ライフスタイルの改善
6.高血圧予防・治療のためのライフスタイルの改善
- 標準体重の維持
- 節酒: エタノール<30ml/日(女性、軽量男性では<15ml)
- 運動: 30~40分/日
- 食塩摂取制限:<6g/日
- カリウム摂取(野菜、果物)
- マグネシウム、カルシウムを充分摂取する。
- 禁煙、コレステロール・飽和脂肪酸の過量摂取制限
〔註〕 エタノール30ml換算各種アルコール性飲料の量
種類 | エタノール30ml換算量 |
---|---|
清酒 | 1.3合 |
ビール | 1.3本 |
ワイン | 5杯 |
焼酎 35度 | 0.5合 |
焼酎 25度 | 0.86合 |
焼酎 20度 | 1.0合 |
ウイスキー | 1.5グラス |
ブランデー | 1.5グラス |