東京警察病院脳神経外科 渡辺英寿

近赤外線脳機能マッピングによる高次脳機能の計測(23分32秒)


サンプル動画(MPEG4: 1.7MB)


NIRSは非侵襲的脳機能マッピング法に新しい手法の一つである。SPECTやfMRIと同様に、神経活動に伴って脳局所の脳血液灌流が増加することを指標としている。近赤外線(波長:800nm付近)は頭皮・頭蓋骨を容易に透過するので、光ファイバーで誘導した赤外光を頭蓋外から脳内に照射し、その反射光を30mm離れた頭皮上の点で計測すると、照射・反射プローベの中間点の脳活動の様子がHbの増減という指標で計測できる。これを24チャンネル以上の多点で同時連続計測し,マップを描くことができる。図1にシステムの概観を示す。現在まで、言語機能の診断や、てんかん焦点の同定などに応用を試み、いずれもほぼ実用の域に達している。
われわれは、約100例の経験からアミタールテストに変わる言語優位半球診断の有力な手法として、可能性を検討を重ねている。図2に右利き成人の言語活動に伴って左ブロカ野が活性化している様子を示した。また、てんかんの焦点を非侵襲的に同定するために誘発発作時や自然発作時にNIRSを計測している。発作に伴って焦点近傍で血液量が急速に増加する現象が確認されており、応用が期待できそうである。図3の難治性てんかんの症例では、発作時に焦点と思われる左側頭葉に血液量の増加が見られている。特に、長時間にわたって計測できることが利点であろう。また、暗算や判断、情動など前頭葉機能に関連する高次機能の計測にも利用し始めている。
 NIRSでは、空間分解能は20mmとやや大きく、脳の外側皮質の活動しか観察できないが、可搬性であり、頭部の動きや位置に関係なく計測できる点は、さまざまなタスクや計測場所での計測を可能とするため、大きな利点である。今後、臨床、リハビリ、産業面での幅広い応用が期待されている。

【図1】

【図2】

【図3】