朝日新聞 徳島版 2006年2月7日(土) 掲載記事

樹齢100年 徳島スギ 浄瑠璃小屋
2006年02月07日

改修工事中の「阿波十郎兵衛屋敷」(徳島市川内町)に4月、樹齢100年以上の高級県産スギをふんだんに使った人形浄瑠璃用の芝居小屋が誕生す る。一昨年の台風被害で山からの搬出が不能になったのを逆手に取り、結果的に天然乾燥による高級材が調達できた。徳島が誇る伝統文化と、県がブランド化に 力を入れる「徳島スギ」の両方を観光客にアピールするねらいだ。(小椋文智)

屋敷の一角では現在、約170平方メートルの木造建物の建築が進んでいる。リニューアルオープン後、人形浄瑠璃が毎日上演される劇場型の 芝居小屋だ。天井を見上げると、水平に渡された梁(はり)は長さが10メートル、太さも50センチ近くに及ぶ。むき出しの柱や棟木、赤みがかった材木が屋 根の下で幾重にも交差している

徳島スギを使って建築が進む阿波十郎兵衛屋敷の芝居小屋=徳島市川内町で

 屋敷を管理・運営する県観光協会などによると、これら主な構造部分には、旧木沢村(那賀町)で育った樹齢100年以上の巨木が20本近く使われている。

 人形浄瑠璃を見に来た観光客に徳島スギの良さを知ってもらおうとの同協会の発案。徳島スギを使った住宅建築を推進する林業家らの集まり「TSウッドハウス協同組合」(那賀川町)に、同協会が約280万円で発注した。

 使用材木には「葉枯らし乾燥」と呼ばれる手法が用いられた。切り倒した木を枝葉をつけたまま山に数カ月間寝かし、木の中の水分を蒸散作用で抜く天然のやり方だ。乾燥機を使う人工乾燥に比べ、寿命が長く、木が本来持つ色やツヤ、香りが残るという。

 04年の台風で大被害を受けた旧木沢村では、道路網が寸断され、伐採した材木を運び出すことができなかった。発注を受けた昨秋には、樹齢100年級のスギが大量に1年以上も山の中で放置されていたため、偶然にも天然乾燥の素材を手に入れることができたという。

 県はリニューアルオープンを機に、屋敷を人形浄瑠璃文化の振興・発信拠点としたい考えだ。芝居小屋内の舞台も以前のものより約1・5倍に 広げるほか、冬場はなかった平日の上演も実施し、入場者増を図る。同協会の門田富士夫専務理事は「徳島スギの見た目や香り、肌触りも感じつつ、浄瑠璃上演 を楽しんでほしい」と話している。

TS WoodHouse 協同組合